読書の記録

スマホ見る時間を減らそう!と始めた「年間52冊=週1冊」目標の読書生活の記録です。

東山彰良『僕が殺した人と僕を殺した人』

帯の煽りが小川洋子さんじゃなければ敬遠してたかもしれない。小川洋子さんであっても台湾の話という事で登場人物名で読みにくそう…と手を出すのに勇気がいったが、読みだすとグイグイ引き込まれて一気に読み終えた。
台湾での少年時代の描写は本当に活き活きしていて頭の中に台湾の雑多な景色が浮かんできて映画を観てるよう。それぞれ影ある家庭環境のもと育まれていく友情はそれだけで十分に一つのストーリーであるが、そこに現代が加わることで更に深みが出ている気がする。

それは、この小説のもう一つの魅力である過去と現在の対比。その対比を際立たせる漢字の使い方と主語の入れ替え。このコントラストを主語の入れ替えを巧みにぼかしながら段階的に切り替えていくことで、どんどん読み進んでしまう流れになっていと思う。こういうパズル的な文章の書き方は推理小説的でもあるかな?と思ったらやっぱりそっち系の作家さんなんですね。

あと作者は私と同世代かな?出てくるアーティストが全て私のリアルタイムでちょっと楽しかった。一つ難をいうなら引用した小説をネタバレ的に説明するのはちょっとどうかと…

あと皆さん指摘の通り、私もスタンド・バイ・ミーが思い浮かびました。

※自身のブクログから転載しています。

 

読了日:2018年6月12月 評価:★★★★☆ 

僕が殺した人と僕を殺した人

僕が殺した人と僕を殺した人

 

 ※テーマ画像は Gerd Altmann さんによる Pixabay からの画像をトリミングして使用しています。