読書の記録

スマホ見る時間を減らそう!と始めた「年間52冊=週1冊」目標の読書生活の記録です。

高山羽根子『暗闇にレンズ』

映画の黎明から映像に関わり続けた一族の話。最初の軽めの雰囲気ながらカメラによる監視などからディストピア的な展開になるのかと思いきや、そういう訳でも無さそうな展開。

カットバックで進行していく物語は過去のウェイトが断然多く、現在の状態に至る流れがテーマで現在のシーンでは至った結果を読み取ればいいのかと思うが、それがよくわからない。

各場面場面はそれなりに面白く、特に照から始まる嘉納家の物語部分はここだけ取り出しても楽しめそうな感じで、それが現在とどうつながるのかという興味が原動力となり読み進めるのだが、過去の物語の視点が一定ではなくさらに現代のシーンが少なすぎるため、全体としてはどうも散漫な印象を持ってしまう。

現在の記述はディストピア的であるがそれが空想なのか現実の捉え方の問題なのかもよくわからない。過去パートも最後の方は未来ってぽい記述もありこのあたりも散漫と感じた原因だと思う。

あらゆる物事は最初の作者の意図とは別に一人歩きを始めそれは誰にも止める事はできない、あたりが主題なのか?照、未知江、ひかり、ルミ、そして私へと受け継がれていく思想めいたものをそのように捉えたが作者の意図はどこにあるのかはわからない。芥川賞受賞後の作品と思うが、小説を写真に見立ててこう記載しているのか?

首里の馬ではうまく保てていたと感じる散漫さとテーマ性のバランスがあったが、ここではそれがうまくいってないようにも思うが、それは私の読解力の問題かもしれない。他の方の感想を是非聞いてみたい。

 

※自身のブクログから転載しています。

読了日:2021年1月11月 評価:★★☆☆☆

暗闇にレンズ (単行本)

暗闇にレンズ (単行本)

※テーマ画像は Gerd Altmann さんによる Pixabay からの画像をトリミングして使用しています。