読書の記録

スマホ見る時間を減らそう!と始めた「年間52冊=週1冊」目標の読書生活の記録です。

村田沙耶香『生命式』

最初の「生命式」から狂ってる…というか正直気持ち悪い。正常は発狂の一種、何が社会的に正しいのか?と自分にしっくりくるのか?は別の話で自分自身の価値観もいつかの社会的価値観の影響下にあるとすると本当に正しいものってあるのだろうか?そんなあやふ…

遠野遥『改良』

先に芥川賞受賞作の破局を読んであまりにも理解が出来なかったので、逆に気になって読んでみた。で、結果やっぱりよくわからん… そもそも破局もそうだが、文章が無味乾燥というかあっさりしている。というかあっさりしすぎている。『破局』を読んだ時は、審…

高山羽根子『暗闇にレンズ』

映画の黎明から映像に関わり続けた一族の話。最初の軽めの雰囲気ながらカメラによる監視などからディストピア的な展開になるのかと思いきや、そういう訳でも無さそうな展開。 カットバックで進行していく物語は過去のウェイトが断然多く、現在の状態に至る流…

村田沙耶香『丸の内魔法少女ミラクリーナ』

村田沙耶香さんらしい短編4編。そもそもタイトルからしてらしさ満開! 何が正解かよくわからなくなってくるというのはこの短編集に限らず共通のテーマ。表題作はそれを正義の問題として語られていると思うが、何ともコミカルな展開で哲学的な空気が微塵もな…

遠野遥『破局』

ハードボイルド調の文体、しかも小泉進次郎構文のような文章、これは新しい表現のチャレンジなのか。しかし文体にはどうも明確に嫌悪感を感じる。 途中からちょっとした出来事の積み重ねから主人公の立ち位置が反転する。(タイトルからして予測はつくが)前…

多和田葉子『献灯使』

前に読んだ『雪の訓練生』もそうだったが、この人の小説は何とも感想が書きにくい。 とにかく前提がぶっ飛んでいる。何らかの事情により今とか全く変わってしまったディストピア的近未来。どのような社会なのかは読み進むにつれ徐々に明らかになってはいくも…

東山彰良『僕が殺した人と僕を殺した人』

帯の煽りが小川洋子さんじゃなければ敬遠してたかもしれない。小川洋子さんであっても台湾の話という事で登場人物名で読みにくそう…と手を出すのに勇気がいったが、読みだすとグイグイ引き込まれて一気に読み終えた。台湾での少年時代の描写は本当に活き活き…

原田マハ『たゆたえども沈まず』

読み出してすぐに『月と六ペンス』を思い出した。といっても内容はすっかり忘れてたけど。何だか芸術家は本人だけでなく周りも大変なんだな…とつくづく。ゴッホが苦悩の人なのは何となく聞いてたけどこういう物語がつくと絵の見え方も変わってくる気がする。…

高山羽根子『首里の馬』

連続と断絶、様々な断絶を含みつつも世の中は連続的に存在する。いや、断絶は連続の中に存在するからこそ断絶なのであって単独で存在した場合、それは一つの事実であって断絶にはなり得ないのか。断絶にも様々な形がある。政治的な事や重過ぎる愛、人質。戦…

松浦理英子『最愛の子ども』

テレビで村田沙耶香さんが〈おすすめの恋愛本〉として紹介してたのを見て読んでみた。これって恋愛小説なのか??との疑念はさておき、とてもいい作品だった。 表面的には女子高生のたわいもない話なのかもしれないが、表現されていることはとても深く感じる…

原田マハ『サロメ』

以前モロー展で観た『出現』。あの絵で初めてサロメのモチーフを知りその禍々しさに、なんとも言えないドロっとした恐ろしさを感じた。 同じモチーフで書かれたオスカー・ワイルドの『サロメ』とビアズリーによる挿絵。そして更にその人間模様全体さえもをサ…

今村夏子『木になった亜沙』

何とも不思議な三つの短編。表題作の『木になった亜沙』と続く『的になった七未』はタイトルからしても類似した作品。初出は2017年と2020年なので少し差があるが、これをまとめてあることには意味があるのかな?食べてもらえない、と物が当たらない、事から…

村田沙耶香『しろいろの街の、その骨の体温の』

村田沙耶香さんの作品を読むといつも自分の嫌な部分を晒されているような気分になる。その感覚がクセになり何とも魅力を感じる。 本作も思春期の女の子の話でありながら、それに留まらず男性が読んでも共感できるドロドロした感情に満ち溢れていると思う。こ…

村田沙耶香『地球星人』

芥川賞受賞後もブレない村田沙耶香ワールドが全開!『殺人出産』や『消滅世界』では主人公が一般的な感覚に近く世間の方が私たちからすると異常だったのが、『コンビニ人間』では主人公が"少し"変わっていて世間は普通と逆転、今回も『コンビニ人間』同様…

村田沙耶香『コンビニ人間』

何を最初にしようか迷ったけど読書習慣をつけるキッカケにもなったこの本で。 芥川賞なのに普通に面白い!という点で衝撃的でした。これを読んだ後、『消滅世界』『殺人出産』など読んでるとこの人のテーマに「社会と適合できない自分」というのがあるのかな…