読書の記録

スマホ見る時間を減らそう!と始めた「年間52冊=週1冊」目標の読書生活の記録です。

今村夏子『木になった亜沙』

何とも不思議な三つの短編。表題作の『木になった亜沙』と続く『的になった七未』はタイトルからしても類似した作品。初出は2017年と2020年なので少し差があるが、これをまとめてあることには意味があるのかな?食べてもらえない、と物が当たらない、事から始まる何とも物悲しい人生が形を変えつつも満たされたと見るべきなのか?二つの作品の差を読み取れれば作者の表現したかったことが浮き彫りになるのかもしれない。

 個人的には『的になった七未』に出てくる「あたればおわる」が印象に残った。色々なストレスの中で「諦めちゃえば楽になる」という気持ちになる事もあるが、そう言った感情を思い起こさせるシーンだった。それにしても何とも救いのない話というか、これが作者流の救いなのか。何とも不思議な読後感でした。

 最後の『ある夜の思い出』は設定からして更におかしな事になってる。腹這いて街中を徘徊するとか想像すら難しいけど、なんだか滑稽でほのぼのした気もする。何とも捉え所のない短編集でした。

 

読了日:2020年6月7月 評価:★★★★☆ 

木になった亜沙

木になった亜沙

 

※テーマ画像は Gerd Altmann さんによる Pixabay からの画像をトリミングして使用しています。