原田マハ『たゆたえども沈まず』
読み出してすぐに『月と六ペンス』を思い出した。といっても内容はすっかり忘れてたけど。何だか芸術家は本人だけでなく周りも大変なんだな…とつくづく。ゴッホが苦悩の人なのは何となく聞いてたけどこういう物語がつくと絵の見え方も変わってくる気がする。
フィンセントとテオの繊細な兄弟愛に加え重吉とテオの友情など色々な要素がある中でも、林忠正という稀有な日本人の話として読んでも面白い。この小説で初めて知ったけどこの人の実在の方なんですね。多分展示会とかでも説明があっただろうに全然気づいてなかった…この人だけでも一つの物語ができそう。
また、小説を通じて知識や世界が広がるのも本を読む楽しみの一つだけど、この本はそういった愉しみをも与えてくれる。
印象派の台頭とポスト印象派の萌芽、当時のパリの華やかさ、近年よく展示会も行われてる印象派へ影響を与えた浮世絵の世界、などなど。
改めて『月と六ペンス』読んでみようかな?
※自身のブクログから転載しています。
読了日:2018年3月18月 評価:★★★★★
※テーマ画像は Gerd Altmann さんによる Pixabay からの画像をトリミングして使用しています。