遠野遥『破局』
ハードボイルド調の文体、しかも小泉進次郎構文のような文章、これは新しい表現のチャレンジなのか。しかし文体にはどうも明確に嫌悪感を感じる。
途中からちょっとした出来事の積み重ねから主人公の立ち位置が反転する。(タイトルからして予測はつくが)前半の流れとの対照で描かれてる感じでまぁ鮮やかと言えばそうなのかもしれないが、あくまでも主人公の主観から見ての対照であり外からは変わりのない状態と思われるので、大きなインパクトがあるわけでもない。
主人公は「こうあるべきが強い」「融通が極端に効かない」というタイプで、そういう人は最近多い気はするが、そういう世代を象徴した文学という感じでもない。また、いくつかのエピソードが出てくるが本筋との関係をどう考えればいいのかもよく分からない。
というわけで、この作品の魅力をどこに感じればいいのかよく分からない。ここ数年の芥川賞はほぼ読んでると思うが、本当に初めて何故これで受賞作なのかが全くわからないと思った作品。選評をまだ読んでいないので今から文藝春秋買いに行こうと思う。
まぁそういう意味ではインパクトはあったのか…新しいものを受け止めきれない自分がいるのかも知れない。
(追記)
文藝春秋で選評読んだ。大好きな小川洋子さんが絶賛だった…選評読んでるとなるほど、とも。読書力アップしなければ。そもそもハードポイルド文体が苦手なのでその時点で内容が読めてなかったかな。
読了日:2020年8月8月 評価:★☆☆☆☆
- 作者:遠野遥
- 発売日: 2020/07/04
- メディア: ペーパーバック
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